研究班について

 
神経免疫疾患の解明と未来の医療を切り拓く研究班


代表挨拶

研究班について

神経と免疫は、これまで別々の分野として研究されてきましたが、近年では両者が密接に関係していることが明らかになってきました。 この関係を研究する「神経免疫学」は、現在、急速に発展している重要な研究分野です。 

この分野の進展により、多発性硬化症や重症筋無力症、ギラン・バレー症候群など、これまで原因が分かりにくかった難治性疾患に対して、新しい理解と治療の可能性が広がってきました。 

本研究班では、基礎研究から臨床研究までを一体として進め、病気の原因解明から治療法の開発、さらには診療の質の向上までを目指しています。 研究成果を社会に還元し、患者さんの生活の質(QOL)の向上につなげることが私たちの使命です。


 代表 中島 一郎


概要

研究班名神経免疫疾患領域における難病の医療水準と患者のQOL向上に資する研究班
住所983-8536
宮城県仙台市宮城野区福室1丁目15-1


存在意義

存在意義
神経免疫疾患は、「神経」と「免疫」という異なるしくみが関係するため、原因や病気の進み方が複雑であることが特徴です。
また、患者数が比較的少ないことから、1つの施設だけでは十分な症例を集めることが難しいという課題があります。

このような背景から、研究を進めるためには、
  • 医療機関による臨床データの集積
  • 研究者による病態の解析
  • 分野をこえた情報共有
が欠かせません。
本研究班は、これらを全国規模でつなぐ役割を担い、研究基盤の整備と、知見の集約・発信を行っています。


目的

本研究班は、神経免疫疾患の患者さんが、より早く正確な診断を受け、適切な治療につながり、安心して生活できる医療体制を整えることを目的としています。

神経免疫疾患には、重症筋無力症、多発性硬化症、視神経脊髄炎、慢性炎症性脱髄性多発神経炎、クロウ・深瀬症候群、アイザックス症候群、ビッカースタッフ脳幹脳炎など、さまざまな疾患が含まれます。これらの病気では、研究や治療の進歩により改善が期待できるようになってきましたが、診断が難しい場合や治療が長期にわたる場合、医療費や生活への負担が大きい場合もあります。

本研究班では、全国の医療機関や専門家、関連学会、患者会と連携し、患者さんの実態を調査しながら、診断基準、重症度分類、診療ガイドラインの整備を進めています。また、治療効果や生活の質(QOL)、医療経済への影響も検証し、患者さんにとってよりよい医療と支援につながるエビデンスをつくることを目指しています。

主な活動の目的は次の4つです。

① 病気のしくみと実態を明らかにする
全国調査やレジストリを通じて、患者さんの数、症状、治療の実態、長期的な経過を調べ、病気の理解を深めます。

② より早く正確な診断につなげる
診断基準や重症度分類を見直し、検査やバイオマーカーの研究を進めることで、早期診断と適切な病状評価を目指します。

③ よりよい治療を確立する
既存の治療法を検証し、患者さん一人ひとりに合った治療選択につなげます。
新しい治療法の開発や、治療効果を予測する指標の研究にも取り組みます。

④ どこでも標準的な医療を受けられる体制を整える
診療ガイドラインを整備し、地域による医療の差を少なくすることを目指します。
さらに、患者さんの生活の質や経済的負担にも目を向け、医療政策や支援体制の改善につなげます。


沿革

1990年代神経科学と免疫学の融合が進み、「神経免疫学」という研究分野が確立される
2000年前後多発性硬化症(MS)などにおいて自己免疫の関与が明確となり、免疫療法の研究が進展
2000年代前半日本においても、厚生労働省の難治性疾患対策事業のもと、神経免疫疾患に関する研究班が組織化される
2004年視神経脊髄炎に関連する自己抗体(AQP4抗体)が同定され、疾患概念が大きく変化
2000年代後半神経免疫疾患に関する全国調査が開始され、疫学データの整備が進む
2010年前後NMOSD(視神経脊髄炎スペクトラム障害)の概念が確立し、診断基準の見直しが進む
2010年代前半重症筋無力症(MG)やCIDPに対する免疫療法の標準化が進み、診療ガイドラインの整備が進展
2010年代後半生物学的製剤(抗体医薬)などの新規治療が導入され、個別化医療の重要性が高まる
2015年前後厚生労働科学研究費補助金(難治性疾患政策研究事業)として、神経免疫疾患領域の研究体制が再編・強化される
2018年頃全国規模のレジストリ研究が本格化し、リアルワールドデータの収集体制が整備される
2020年頃多施設共同研究によるデータ統合が進み、診療の均てん化(地域差の解消)が重要課題として位置づけられる
現在全国の医療機関・研究機関が連携し、病態解明、診断精度の向上、新規治療法の開発、医療の標準化を目的とした研究を継続的に推進